幕府軍艦 開陽丸(1869年)


開陽丸 BOFORD JAPAN 1/700改造
BOFORD JAPANから『世界の帆船』シリーズが1/700スケールとしては画期的な帆船モノとして完成品として発売された。 本物の糸で張り線が張られているなど、かなりの凝った仕様ではあるが製作記の写真でも ある通り、そのままでは不満の残る箇所もあるので一度完全に解体して再組み立て。
実艦は幕末に徳川幕府がオランダに発注した当時の最新鋭艦で、戊辰戦争当時は国内で最強艦と認識されていた。 日本回航直後に戊辰戦争が勃発、榎本艦隊の旗艦として箱館に赴くが江差制圧の援護時に座礁沈没し、 箱館戦争の戦局に大きな影響を与えたと云われる。
1990年に江差の沈没地点の近くに実物大の艦が再現され、そこが資料館として機能している。しかしながらその再現艦、 及びその艦内等に展示されている模型が実艦と思われる残された写真と比べて異なっていると思われる箇所も存在し、 模型ごとにも形状が幾分か異なっている。そのため、BOFORD JAPAN製品が明らかに間違っていると思われる箇所は 他の資料を参考に修正し、何とも云えないものは製品のパーツを行かすことで対応。
側面及び上面から。船体形状はBOFORD JAPANのものでほぼ問題ないと思われるのだが、甲板が反ってしまっているせいで 前後甲板から艦舷高さが不足してしまっていたのを前後の艦舷を若干嵩上げすることで対応。本来ならば甲板を新規に作り直せば 良かったのだが、完全に加工してしまってからその問題に気付いたのでこの方法を採った。また艦首マストの取り付け角度は 製品のものの角度の方が残された写真と近いように思えるが、再現模型などがもっと上向きであったのでそれに合わせて角度を 修正している。
前面から。ヤードは帆と一体で軟質樹脂製。完全に作り直してしまっても良いのだが、製品の帆の質感が捨て難く、 また布などで作り直してしまうと風で張っている状態の再現が困難であるため製品のものを再利用。そのためどうしても ヤードの若干の傾きが生じてしまっている。良い帆の表現方法が見つかれば修正したい箇所。もっとも製品の帆は 明らかに分厚すぎるので、淵部分を薄くすることで少しでもその厚みが分からなくなるように対処。
石巻から鷲ノ木に向う途中の設定で、艦首部分に新選組隊員を配置。設定上は先頭が土方歳三(一応首元にスカーフを 巻いている)、その後ろが(誰とでも云えるのですが...)島田魁、後ろの旗持ちが尾関雅次郎。有名な浅葱色の隊服は 恐らくこの時点では着用していないと思われるのですが、「らしさ」を求めて敢えて着せています。
完全に作り直した煙突回り。煙突後部の艦橋のような構造物回りエッチング手摺を付けたことで所謂食玩品質を 抜け出せたかと。遠眼鏡(この頃にはもう望遠鏡と呼んでいたのでしょうか??)を持つのは榎本武揚の設定。
後部のボート用デリックの付き方も不自然であったので修正。航行中の設定なのでボートにはカバーを装備。ボート自体は 製品のものを再利用。
幕府海軍所属であることを示す日章旗を艦尾に掲揚。模型的には後ろ向きにははためかせたい所だが、帆が順風 の設定であるので前向きにはためいている状態。
'08 8月完成
080809掲載

製作記  艦船 

TK Model Factory